寒暖差が引き起こす「ヒートショック」とは?原因と注意すべき点

寒暖差が引き起こすヒートショック

Untitled design(4)_1

ヒートショックとは?

ヒートショックとは、急激な温度変化により身体がダメージを受ける状態を言います。

寒暖の差により上下に大きな血圧変動が起こり、血管や心臓に負担がかかってしまうため、心筋梗塞や脳梗塞、不整脈を起こす要因ともなっています。また、ヒートショックにより失神が起こった場合に、浴槽内で溺れてしまい亡くなることも入浴中の急死原因の典型例とされています。

東京都健康長寿医療センターの研究によると、2011年の1年間で、「ヒートショックに関連した入浴中の急死」と推計されるのは約17,000人であり、うち高齢者の方が約14,000人と考えられています。

これは交通事故による死亡者数(4,611人)をはるかに上回るとされています。

ヒートショックが多く発生する冬期

寒い冬は室内ごとの寒暖差が大きく、同じ家の中でも20度近くもの温度差になることがあります。

例えば、家の中でもエアコンやストーブなどの暖房器具により暖かい居間やリビング、ここで身体が暖まった状態から、冬の寒い室温下にあるトイレや浴室(脱衣場)へと移動すると、この室温の差が身体に影響するため、身体は体内の熱を奪われないように血管が縮み、その結果血圧が上昇します。

衣服を着脱する状況下で肌を寒気の中にさらすことにより、ヒートショックが起こりやすくなり、身体への危険性が高くなります。

高齢者や生活習慣病の人は特に注意

ヒートショックは同じ状況下でも発生に個人差があります。

では、どのような人にヒートショックが起こりやすいのでしょうか。

 ヒートショックを起こしやすい人

  • 高齢者の人
  • 高血圧の人
  • 不整脈など心疾患を持つ人
  • 動脈硬化の人
  • 糖尿病や脂質異常症、肥満気味の人
  • 睡眠時無呼吸症候群の人

このように、疾患がある人や生活習慣病の人、血圧変動が起こりやすい高齢者の方に特に多いのが特徴とされています。

高齢者の方は体温維持の機能が低下しており、血管も比較的脆くなっているため、血圧の変化に伴うヒートショックが起こりやすくなっています。上記に当てはまる人は特に注意が必要となります。

ヒートショックの原因:脱衣所の寒さが身体への負担に

冬場のお風呂。室内の寒暖差が出やすい入浴時に注意

室温に大きな差がある冬場の浴室では、ヒートショックを防ぐための注意が必要です。

断熱仕様されていない住宅では、同じ家の中でも室温差が大きく表れます。

暖房器具により暖かな部屋に対し、冬場の浴室および脱衣所、洗面所やトイレは、外気温度が直に影響しているため室温が10℃以下になることも多くあります。

震えるような寒さの中で衣服を脱ぎ、体を冷気に触れさせることになってしまうと、体の表面温度が10度以上も下がることになり、この寒冷の刺激が血圧の急激変動の原因となります。

スクリーンショット 2014-06-20 01.39.52

出典:東京ガス「お風呂のはなし ヒートショックにご用心」

冬場の寒い浴室の場合

暖かい居間→冷えた脱衣所(服を脱ぎ裸になる→寒さを感じ血圧上昇)→温かい風呂で入浴(暖まることで血管拡張、急激に血圧低下)→入浴後(暖まった身体が冷えることで血圧上昇)

このように、暖かい状態と冷たい状態を何度も繰り返す度に、身体は室温変化に対応するため血圧が急激に変動します。この短時間で繰り返される血管収縮が心臓に負担となってヒートショックを引き起こし、失神、心筋梗塞や脳卒中の原因へと繋がりかねないのです。

また、東京都健康長寿医療センターの平成25年度の「47都道府県の救急搬送事例9360件の分析」によると、

  1. 入浴中のCPA(入浴中心肺停止状態)の発生頻度は気温低下と負の相関を示し、低温で増加すること
  2. しかしながら沖縄県と北海道は最も発生頻度が低く、冬期の室内温度は高いこと
  3. 気温の変化に合わせた住宅の温熱環境づくりが予防に大切であること

を発表しています。

では、今後ヒートショックを具体的に予防するために、どのように対策を行えばよいのでしょうか。

次回は「どうすればヒートショックを防げる?「予防と対策」について」です。

ヒートショック関連記事: