本当に価値あるリフォームをするために必要なこと

古くなったものを修繕するだけがリフォームではない

リフォームのイメージと言うと、古くなった設備を新しいものと交換する、壊れた部分を修繕するというイメージがあります。しかし時代が変わり、世代が変われば、暮らしやすい住まいのカタチも変わっていきます。リフォームの時には、これらの変化にあわせ、住まいも進化させることで、「これから」の暮らしが快適になります。

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10年目のリフォームは住まいの維持のため

そのための最初のステップは、築10年目にやってきます。屋根や外壁の再塗装、シロアリ対策、各部の再防水など、この先我が家を健康に長く維持し続けるためには、定期的なお手入れが欠かせません。そして何よりそのタイミングを逃さないことが、住まいを効率的に維持する大きな鍵となります。

20年目のリフォームは「未来を作るリフォーム」

そして次のステップは築20年前後です。住まいの基本的なお手入れに加えて、古くなった設備機器を最新型のものと交換したり、快適な住環境を作るための各種性能を引き上げたり、生活スタイルに合わせて間取り変更をしたり。この先、便利に快適に暮らすためのターニングポイントとなる時期です。

住まいを効率よく維持しながら、時代や人にあわせて住まいを進化させれば、我が家はいつも快適です。本当に価値あるリフォームとは、過去を繕うだけのリフォームではなく、未来を作るリフォームです。そしてそのために必要なことが2つあります。

住まいるオスカーが提案する家のリフォーム時期の目安表はこちらから

住まいの性能向上が、安全で健康で、エコな暮らしを作る

ヒートショック

「これから」の暮らしのために必要なリフォームの1つめは、健康に暮らせる住まいにしておくことです。家庭内事故と言う言葉をご存じでしょうか。住まいの中で起きる事故のことで、交通事故で亡くなる方は約4,500人と年々減っているのに比べ、家庭内事故で亡くなる方はなんと13,000人以上。しかも年々増加傾向にあります。

この家庭内事故の内訳を見てみますと、多いのがヒートショックを原因とするものです。ヒートショックとは急激な温度変化により脈拍や血圧が突発的に上昇することで、高血圧の人や高齢者は命にかかわる危険な症状です。真冬の入浴の時、お風呂場が寒くて思わずブルっと震えてしまった、暖かいベッドから寒い廊下に出た時に背中がゾクゾクッとした経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。ヒートショックを防ぎ、健康に暮らしていくためには、断熱リフォームによって住まいの中の温度差を解消しておくことが大切です。

住宅にはその時代・時代に「省エネルギー基準」と言う断熱性能の基準が定められていて、年代と共に進化しています。つまり建てられた時期によって、基準となる断熱性能が異なります。

  • ~1979年に建てられた家:無断熱、旧省エネ基準以前
  • 1980年~1991年:旧省エネ基準
  • 1992年~1998年:新省エネ基準
  • 1999年以降:次世代省エネ基準

断熱性能は簡単に言えば、魔法瓶の性能のようなものです。真冬に中に入れたお湯がどれくらい冷めないか、それを維持するためにどれくらいの光熱費が掛かるかといったような性能で、断熱性能が高い住まいはちょっと暖房を付けるだけで家中が暖かくなります。

断熱リフォームは意外に手軽でコストパフォーマンスがよい

断熱リフォームというと手間が掛かる大変な工事と思われがちですが、思ったより手軽にできるパフォーマンスのいいリフォームです。断熱性能が高い住まいは、快適なので自然と冷暖房費が節約できます。つまり、快適な住まいにすれば、健康にいいのはもちろんのこと、自然とエコ・省エネな暮らしができるのです。

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※フェノバボードのようなパネル型の断熱材なら上貼り施工できるので工事も簡単です。

時代の変化、世代の変化にあわせたイマドキの住まい

「これから」の人生のために必要なリフォームの2つめは、時代の変化、世代の変化にあわせて、我が家も進化させることです。例えば築20年の住まいなら、当たり前のようですが新築当時は今から20年前です。10年ひとむかし、20年ふたむかし。住んでいる人も20歳年をとりました。体力が変われば暮らし方も変わっています。若い頃はなんともなかった段差が、年をとるにつれて危険な段差に変わっています。

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時代も変わりました。20年前にパソコンを持っている家庭はほんの一部でしたが、現在では当たり前のように持つ人が増えました。持ち物の量も今と昔では桁違いに増えて収納が不足していたり、電化製品が増えてコンセントの数が足りないという家も多いことでしょう。

収納量だけでなく収納の形も昔と今とでは違います。以前は、収納といえば押入れが主流でしたが、現在は押入れが減り、代わりにクローゼットや薄型の収納スペースが人気です。昔は何を仕舞ってもいいようにざっくりと大き目の収納が設えられていましたが、今の時代はどこに何をしまうかを決めてから、それにあわせて収納を作るというように、設計手法も変わってきています。

水まわりも変わっています。特に変わったのがキッチンです。北側の小さな台所にこもって料理をしていた時代から、広く明るいダイニングキッチンで家族一緒に作ったり食べたりする時代になりました。

このように、暮らしやすい家のカタチは時代や世代と共に変化しています。リフォームの際には、これらの変化を上手に捉えて計画を立てること、そうすることで「これから」先長く快適に暮らせる我が家になります。

財産である我が家で、長く快適に暮らし続けるために

リフォームの技術は進化し、昔は難しかったこと、なかなか叶えられなかったことが、手軽に叶えられる時代になりました。我が家を健康に維持し、進化させ続ける価値あるリフォームで、「これから」の人生をより快適に幸せに暮らして頂ければと思います。

寄稿:Yuu(尾間 紫)

Yuu06

一級建築士事務所 OfficeYuu代表
ウェブサイト:http://www.ne.jp/asahi/net/rehome/
一級建築士、インテリアプランナー、インテリアコーディネーター、マンションリフォームマネージャー、既存住宅現況検査技術者長年リフォーム業界の第一線で、数多くの住宅リフォームの相談、プラン設計、工事に携わってきた経験から、事業者向けには「住宅リフォームコンサルタント」としてビジネスサポートを行い、消費者向けには「住宅リフォームガイド」としてリフォームの実践的なノウハウをテレビやラジオ、執筆、講演会などを通して発信している。
形からでなく暮らしから、新しい暮らしを作る「リライフのリフォーム」を提唱。本当に満足するリフォーム実現のためのトータルなアドバイスをしている。

  • 近著:リフォームはこうしてやりなさい/ダイヤモンド社 など
  • 毎日新聞「Yuuの住アドバイス」連載中
  • 毎週土曜日、EリフォームforYou(FMヨコハマ)レギュラー出演中。
    その他、ホンマでっか!?TV(フジテレビ) 、ひるおび!(TBSテレビ)、グッド!モーニング(テレビ朝日)、ズームイン!!サタデー(日本テレビ)出演など多岐にわたって活動中。