今からすぐできるトイレ、お風呂・浴室でのヒートショック予防対策とポイント

前回の記事で、ヒートショックは「急激な寒暖差」が原因になること、発生しやすい傾向の方の特徴などを挙げました。ヒートショックを予防するためには、家の中での温度差を出来る限り少なくする必要があります。

家全体の暖かい空間づくりには住宅の高断熱化が最も有効となりますが、こちらは新たな設備や住宅リフォームなどを行うため、手間と費用がかかってきます。

今回は、まず現在の暮らしの中でヒートショックを防ぐための、「すぐに取り入れることが出来る方法と対策」について見ていきます。
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ヒートショックの予防:「今からすぐ行うことができる対策」のためのポイント3つ

  1. 冬に冷える場所をあたため、急激な冷えを感じない住空間にする
  2. 熱すぎない風呂の湯温など、身体を一定の温度差内に保つようにする
  3. 深夜の入浴を避けるなど、冷えが特に影響する生活時間帯を見直す

こちらの3つのポイントを抑えることがヒートショックの予防では重要です。

次に、ヒートショックの原因である激しい温度差が発生する「お風呂場」「トイレ」において、今できる対策を見ていきましょう。

浴室・お風呂場のヒートショック対策

1. 脱衣所・浴室内を暖めてから入浴する

服を脱ぎ肌が露出する脱衣所と浴室の室温をコントロールし温度差を減らすことで、身体への負担が軽減します。

シャワーを活用して、部屋を暖めよう

浴室暖房機がない場合は、熱めのシャワーを高めのシャワーヘッド位置から浴槽内へ出し、蒸気を発生させて室内を暖めましょう。また、浴槽に熱めのお湯を溜め、入浴までの間フタを開けて少し置いておくことでも暖められます。

脱衣所はヒーター、他の部屋からの暖かい空気等を使って入浴前に暖める

脱衣所が居間近くにある場合は、入浴前に扉を開けて暖かい居間からの空気を脱衣所へ送りましょう。

脱衣所ヒーターがない場合は、隣接する廊下に簡易的なストーブやヒーターを置いて、脱衣所周辺を暖めるようにしましょう。(※居間用のものは廊下で短時間のみ使用するなど、浴室専用の暖房器具以外は注意が必要です)

2. 身体に負担がかからない入浴法を実践する

熱すぎない「38℃〜40℃」の湯温で入浴する

42℃をこえるようなお湯は血圧の急激変動の原因となります。38~40℃程度のぬるめ温度で、まずはかけ湯から始め、半身浴を中心にゆったりと入浴するようにしましょう。

一番風呂を避ける

家族が入浴したあとは浴室と脱衣所が比較的暖まっているため、着替えや洗い場での冷えからの負担を減らすことができます。

入浴時間はなるべく日没前までに

冷え込みが始まる日没後~深夜にかけてだんだんと寒暖差が広がりますので、高齢者の方は日中から夕方など、できるだけ日没前や早め時間の入浴を心がけましょう。

入浴時のコンディションを整えよう。食後すぐや飲酒時はNG

血圧の変動が大きくなりやすい食後すぐや飲酒時は入浴を控えましょう。また、入浴時の発汗で体内の水分が排出されますので、あらかじめ水を飲んでおき、血液の粘度が上がるのを防ぎましょう。

3.着替え方や衣類で入浴前後の冷えを防ぐ

お風呂で暖まった身体も、入浴後は脱衣所の寒さを一段と感じやすくなっています。入浴前後の冷えを防ぐため、寒さを感じずにすぐ着衣できる環境づくりをしましょう。

浴室内で脱ぎ、拭き、着る

浴室への出入り時に脱衣場が冷えていると、身体に負担がかかります。

肌着や下着はいったん浴室内に入ってから脱ぐようにすると、寒さをかなり防ぐことができます。入浴を終えた際も、浴室内で濡れた体を拭き、下着や肌着を着るのが望ましいでしょう。肌着を1枚身に付けることで体感温度が変わり、冷えやすい入浴後の身体を守ってくれます。

下着類やパジャマなどの着替えは、浴室ドアから手を伸ばして届くように対策しましょう。
(A)浴室内のランドリーパイプや浴室ドアのタオルハンガーがあると便利
(B)着替えの出し入れに、すぐ手が届くドア近くにカゴやボックスなどを置く

あたたかさを持続させる衣服を着よう

裏起毛素材のパジャマはヒヤッとせずあたたかに着替えができ、絹素材も保温力で暖かさが持続します。また、腹巻きや厚手靴下、首の後ろを冷やさない室内首巻きなど、冷えやすい部位を守る衣類を身に付けましょう。

トイレでのヒートショック対策

1.トイレをあたたかく保つには暖房器具が必須

トイレに行く際は、上に一枚羽織るのが良いでしょう。肌着、衣服、カーディガンやハンテンと重ね、上半身をあたたかくしておくと、下半身の冷えが軽減されます。

また、トイレに窓がある場合はカーテンを取り付けましょう。

少し費用がかかりますが、冬場に冷え込む寒いトイレでは、「トイレ用ヒーター」を置くことや、「温水暖房便座」を取り付けることが望ましいです。(※詳しくは次回記事で紹介いたします。)

2. 窓周辺からの冷えを防ぐ

冬の室内を暖かく保つための手軽に取り入れられる方法としては、以下の様なものがあります。
出来る限り外気を遮断することで熱を室内に留め、外へと逃げにくい状態にします。

窓まわりの「断熱性能を高める」工夫をしよう

断熱化されていない住居の窓からは、冷たい外気が室内に入り暖かな空気が外へ逃げてしまいます。

カーテン(厚手で長めのドレープカーテンがさらに効果的)やブラインドを閉め、シャッターや雨戸、内窓が設置されている場合は日光が入る時間以外には閉めておきましょう。
換気のために開けている小窓からも冷気が入りますので、開けっ放しになっていないかチェックが必要です。

自分で設置できる市販の窓用断熱シート、すき間テープも手軽に取り入れが可能です。これらはホームセンターで購入することが出来ます。

窓を2重サッシにして断熱性能をUP!

現在ついているサッシの内側に、後付の内窓サッシを取付けるだけで断熱2重サッシになります。外気と室内の空気の間に、空気の断熱層をつくり室内の温度差を小さくしてくれます。
価格は、幅1.7m×高さ90cmの引違い窓で工事費込みで28,400円(税別)程です。さらに、後付サッシのガラスを遮熱複層ガラス(Loe-E)に替えることもできます。

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画像出典:YKK「Low-E複層ガラス(断熱タイプ)」

次回は「少しお金と手間がかかるヒートショック本格対策」を見ていきます。お金はかかってしまいますが、何より簡単で、ヒートショック予防のためだけでなく、日々の暮らしをより快適にしてくれますよ。

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