親のため将来の自分のために、知っておきたい生前整理と遺品整理
高齢化、核家族化が進み、一人暮らしを続けて亡くなる高齢者が増えています。そんな中、ニーズが増えているのが「生前整理」や「遺品整理」。今回は両者の違いや必要性、請け負ってもらう際の注意点などをお伝えします。
「生前整理」と「遺品整理」の違いは
「生前整理」と「遺品整理」、この違いを簡単にまとめると、以下のようになります。
生前整理 | 遺品整理 | |
---|---|---|
行う時期 | 生前 | 亡くなった後 |
依頼者 | 本人または家族 | 遺族 |
目的 | 要らない物を整理して、相続のトラブルを事前に防ぐ。 | 故人の遺品の形見分け、整理、処分をするため。 |
特徴 | 本人自身で要る物と要らない物の整理ができる。行政関係の手続きも、自身で済ませられる。
→(結果)本人健在のため、家族への負担が少なくなり、工夫次第で料金も抑えられる。 |
故人に代わり、遺族の判断で品物を整理する。行政関係の手続きは、遺族または第三者が行う。
→(結果)本人不在のため、遺族への負担が大きく、料金が高額になりがち。 |
このように見ると、本人の意思を尊重でき、料金も抑えられる、「生前整理」から始めた方が良さそうです。親がまだ元気だからというより、元気なうちに相談したいところです。
作業の流れ
「生前整理」「遺品整理」の一般的な作業の流れを記します。
- 受付・相談・依頼(電話やメール)
- 訪問見積もり
- 内容確認・物量確認・経費確認・見積もり算出
- 見積書提出
- 契約
- 作業(分別梱包・搬出)
- 清掃
依頼するときの注意点
ニーズが高まり、これらの業界の需要は伸びています。新規参入業者も増えていますが、中には良心的とはいえない業者も。
各地の消費者センターに寄せられた相談・苦情で最も多いのが料金トラブルです。「部屋の広さから5万円程度でやってもらえると聞いていたのに、40万円かかると吹っかけられた」「解約をお願いしたら、20パーセントのキャンセル料が発生すするといわれた」など。この他、廃棄物の不法投棄、依頼者の了解なしの遺品売却、作業した部屋の損傷などが挙げられます。
業者選びでは何に気を付けたらよいでしょうか。
- まずは見積書の確認です。
複数の業者から見積もりを取り、内容や金額を比較する。キャンセル料の発生する時期も事前に確認する、ことが大切です。「遺品整理一式○○円」と、漠然とした表記は要注意。作業人数や時間、廃棄する家具類の分量などが具体的に書かれているかを見ましょう。 - 作業員に最低女性が一人いることも望ましいです。
収納状況などは女性の方が正確につかみやすく、依頼者が女性の場合、男性に見られたくない場合もあるからです。 - 服装も重要。
作業員は制服着用が基本。立会者が作業員かどうか判別できるうえ、盗難トラブルも防げます。 - 依頼業者が、処分するための資格を持っているかもチェック!
家庭の廃棄物を回収・処分するには市町村の一般廃棄物処理業の許可または委託が、書籍や骨董などを買い取ってもらうには、古物商の資格が必要です。 - 作業には依頼者が立ち会うのが原則。
遠方に住むなどの理由で立ち会えない場合も、必ず現場写真を撮ってもらうなど、作業が確実に実施されたか確認しましょう。
次回は、北陸地域での「生前整理」「遺品整理」を行う業者を紹介します。