高齢者の家庭内事故が増加中!家での事故を防ぐためにできること

親が高齢で一人暮らしをしていると、子どもとしては家庭内事故が心配になります。今回は火事を中心に、高齢者世帯で多い事故とその対策についてお伝えします。

住宅火災における高齢者の割合は増えている

消防庁による、「住宅火災における死者数の推移」平成17~26(2005~2014)年は、以下の通りです。

住宅火災における死者数(人) 65歳以上の高齢者の割合(%)
平成17年 1,220 56.6
平成18年 1,187 58.0
平性19年 1,148 59.6
平性20年 1,123 63.2
平性21年 1,023 61.4
平性22年 1,022 62.7
平性23年 1,070 66.4
平性24年 1,016 66.6
平性25年 997 70.5
平性26年 1,006 69.5

参考資料:消防庁『住宅防火・防災キャンペーン』リーフレット

死亡者数(放火自殺者などは除く)は減少傾向ですが、65歳以上の高齢者の割合は増加し、死亡者の約7割を占めています。高齢化社会に伴い、この割合も増加することが懸念されます。

高齢者の自宅で多い事故とその対策

それでは、高齢者の自宅で多い事故とその対策について、見てみましょう。

場所 内容 対策
キッチン ・天ぷら油が発火
・コンロの火が衣服に燃え移る
・一酸化炭素中毒
・鍋底が高温で、自動的に消火する過熱防止装置付きコンロを使う。ガスコンロの周りに物を置かない。
・袖のゆったりした服や起毛の衣類での調理は避ける。防炎エプロンやアームカバーを使う。
・ガス瞬間湯沸かし器を使う際は、換気をする。
トイレ ・温水洗浄便座で低温やけど ・温度調節を「低」にするか、使用直前まで温めて使用中は切る。
浴室・トイレ ・滑って転倒 ・手すりを付ける。浴室のイスは、底に滑り止めを付ける。
寝室・リビング ・布団がストーブに触れて発火
・灯油に着火
・湯たんぽで低温やけど
・寝るときは、ストーブ(電気、石油とも)を切る。近くで洗濯物を乾かさない。
・給油時は火が消えていることを確認。タンクのフタが閉まっているかを確認。
・布団が温まったら、湯たんぽを出す。カバーをしても体に触れないようにする。
その他 ・家電製品や燃焼機器の経年劣化事故 ・ガス給湯器など特定保守製品は、購入時に所有者登録をすれば、点検が必要な時期になると、案内が来る。

参考資料:日本経済新聞(夕刊)2016年12月20日「レンジ、ガスコンロ、ストーブ……高齢者、家は危険だらけ」

やはり、火事に関する事故が目立ちます。石油ストーブの場合は、灯油と間違えてガソリンを給油する、給油後にタンクのフタをきちんと閉めず灯油がこぼれて引火する例が多いようです。

最近増えてきたのが、「温水洗浄便座による低温やけど」です。温度調節を「高」「中」にして10分以上座っていると、低温やけどを負う恐れがあるといいます。高齢になると皮膚が弱くなり、便座に座っている時間も長めになるので、注意が必要です。また、高齢者では長く使っている製品の劣化による事故も見られます。電化製品などの機器は消耗品と考え、一定の時期が来たら新しいものへ替えていきましょう。

子世代ができる予防策

子世代としては、自宅を訪れた際は、劣化した電化製品がないかを確認する、万一出火した際燃え広がりを抑えるために、整理整頓するなどを心掛けたいところです。

また、経済産業省は製品事故防止のために、HPに「おうちのチェックリスト」を掲載しています。こちらをプリントアウトして目に付きやすい場所に貼るのも良いでしょう。各家庭の事情はありますが、できる限り顔を出して、親の体調だけでなく、自宅の様子も確認することが大切ですね。

>経済産業省による「おうちのチェックリスト」はこちら