インスペクション(住宅診断)結果から見る、築30年の中古住宅に多い家の不具合とは?

ここ数年でホームンスペクションを実施する方も増えてきました。中古住宅と言っても、築10年未満、築20年ほど、中には築30年以上の物件もあります。

築浅の中古住宅と比べると、年数が経過した物件は、「価格は安いけど、見た目が悪くて、安全性も心配」という方が多いのではないでしょうか。当社でもインスペクションの依頼を受ける場合、築30年前後は専門家に見てもらいたいとの声があり、診断をするケースが多いです。今回は、築30年の中古住宅に多い家の不具合事例をお伝えします。

不具合事例① 基礎や外壁のひび割れ

築30年ほど経過していると、地盤や地震の影響で建物が負荷がかかり、基礎や外壁などにひび割れが発生しているケースが多くあります。0.3mm未満のひび割れは、乾燥伸縮によるヘアクラックと呼ばれ、影響はほとんどありません。0.5mm以上の大きな隙間の場合、構造クラックと言われており、雨水が侵入し、鉄筋の腐食、木材の腐食、雨漏りを発生させることがあり、補強・修理が必要です。

ヘアクラック
基礎:0.3mm未満のヘアクラック
構造クラック
基礎:0.5mm以上のクラック
モルタルひび割れ
モルタル外壁:窓下のひび割れ
モルタル外壁ひび割れ
モルタル外壁:縦目地のひび割れ

不具合事例② 建物の歪み・傾き

平成12年より以前は、地盤調査や地盤補強がされていないケースがほんとんどです。また、木造住宅の場合、乾燥伸縮・地震の影響により柱が傾いているケースも珍しくありません。

新築住宅では、1000mmに対して3mmが許容範囲と言われていますが、築30年の中古住宅では、1000mmに対して6mm以上傾いているケースも珍しくありません。大きな傾きがあると、家具が傾いたり、アルミサッシや室内ドアの開閉に支障をきたすケースが多いです。具体的には、サッシの鍵が掛かりにくくなったり、隙間が開いたりします。傾き自体を直す場合、大がかりなリフォームが必要になりますので、そのような物件を購入する場合はリフォーム費用も計画しておきましょう。

レーザー水平器
レーザー 水準器にて傾きを計測中

不具合事例③ 雨漏り

築30年前後の家のほとんどは、瓦葺きです。当時は、薄く杉板を剥いで屋根を作る“トントン葺き”と言われる工法で下地を作り、瓦を土で固定している住宅も珍しくありません。

現在の合板+防水シート+軽量瓦と比べると防水性に劣ります。また、寄棟や入母屋の屋根形状が多く、棟や谷などの凹凸部分が風雨・紫外線によって劣化します。瓦葺きは20年~25年単位での締め直し、修理が必要です。

雨漏り
屋根雨漏り:小屋裏に侵入し撮影
雨漏り
屋根雨漏り:屋根からの雨漏りによってシロアリが発生している状況

 

築30年の中古住宅では、以前の居住者・不動産業者で部分的にリフォームしているケースも多く、見た目はキレイになっていることもありますが。しかし、構造など見えない箇所は、専門家に依頼しチェックを受けた方が良いでしょう。