家族の変化で住まいが変わる「二世帯住宅」編

二世帯住宅が登場して約40年。親世代が亡くなると、当然空きスペースができますが、「物置」にするだけでなく、有効に活用する方法もあります。

築30年前後の二世帯住宅

旭化成ホームズが築30年前後の二世帯住宅を調査したところ、親世帯が亡くなった世帯住宅のうち、入れ替わりに孫世帯が暮らしているのは24%。以下に、親世帯が亡くなった二世帯住宅に住んでいる割合を種類別に記しました。

子世帯のみ 33%
子世帯と単身の孫 43%
子世帯と孫世帯 19%
子世帯と孫世帯 5%

現在子世帯と同居している単身の孫が、将来結婚して同居する可能性もありますが、最終的に孫世帯に継承されるのは約50%と見られます。空いている1世帯分の用途は「物置」が最も多く、せっかくのスペースが活用されていないのが現状です。

リフォームによる空き部屋の活用方法

そんな中、空き部屋を有効活用している例を紹介します。

地域の人が集うカフェに

義母が亡くなり、1階部分が丸々空き、一時はお線香を上げるだけのガランとした空間になったAさん宅。「皆が集まりワイワイできる場所にしたい」と3人の子育て経験を活かし、数百万円かけてリフォーム。今では、子ども食堂や認知症の人とその家族が集う交流会、ミニコンサートなどのイベントを開く地域拠点になりました。

障害のある息子が暮らしやすい住まいを

亡父が暮らしていた1階の間仕切り壁を取り払い、キッチンと広いリビング、息子(18歳)の寝室を一体にするリフォームをしたBさん宅。下肢と視覚に障害のある息子の介護の負担を減らすためです。妻がメーカーに「キッチンで料理をしていても寝室にいる子どもが見えるようにしたい」と出した要望が、実現しました。以前は妻が息子を抱えて階段を上り下りしており、外出も一苦労。家にこもりがちの生活。リフォーム後は「家族そろって外食などに出かける機会もぐっと増えた」と喜んでいます。

メーカーの見解

二世帯住宅のリフォームについて、メーカー側はどのように考えているのでしょうか?

  • 世帯構成や生活スタイルは変化していくもの。将来のリフォームを想定して柱や筋交い(※)などは、新築時から外側に寄せて設計するとよい。
  • 水回りや玄関などの位置を動かす工事は、費用が高くなりやすい。将来リフォームの可能性があるなら、設計の段階で担当者に相談すべき。

※すじかい:建物を強くするために、柱の間などに斜めに交差させて取り付けた材木。

最近住宅メーカー各社は、将来空いた1世帯分を賃貸住宅に転用しやすい設計プランなどを勧め始めています。築30年前後の二世帯住宅は、転換期に来ているようです。これから建てる方は、将来を是非見据えて欲しいと思います。

参考資料